タグ:ライン

 釣りの楽しさの一つに仕掛けを作ることがあるのですが、最近は出来合いの仕掛けが多く発売されているので、実際問題仕掛けを作ることができなくても釣り自体はできてしまいます。
 竿もリールもレンタルでやる場合は、ハリを結べなくても、ヨリモドシを結べなくても、糸同士を結べなくても釣りはできてしまいます。

 ただ、現場での対応力という点でヨリモドシの結び方と糸同士の結び方はマスターしておいたほうがいいと思います。(ヨリモドシとここでは書きましたが、いわゆる環状になっているもの全般に対するラインの結束についてですね)

 ヨリモドシとの結束方法は色々ありますが、複数知っておくと便利です。
 慣れないうちは、その日結びやすいやり方が違うというケースがあるのです。(ほんとうに不思議なのですが)
 クリンチノット・ユニノット・速攻トーナメント結びあたりがお勧め。
 特に速攻トーナメント結びは非常に簡単な結び方ですね。(笑魚さんという方のHPで覚えました。→トーナメント結びを覚える
 現場での結束にも向いています。
 ユニノットよりはクリンチノットの方がやりやすいかもしれません。
 複雑な結び方を中途半端にやるよりは、単純な結び方をきっちりとやったほうが強度は出しやすいです。
 ラインは結び目ができればできるほど強度が低下します。
 また、締め込みの際はつばでラインを必ず濡らしてください。
 釣りに使うラインのほとんどが熱に弱く、締め込み時に発生する摩擦熱だけで大幅に強度が低下します。(にわかには信じがたいでしょうが、釣りをやっていけば実感します。ゆっくり締めれば摩擦熱も発生しないという説を唱えている方もいますが、それよりは濡らして対策したほうが確実です。つば程度で金属部品が錆びる可能性は低く、また錆が浮くほど仕掛けをプールしているのであれば、それ以外の要因で他の部分が劣化しているはずです)
 
 糸同士の結束についてですが、なれないうちは電車結びをお勧めします。
 PEラインでやると抜けやすい上に結びコブの大きくなる結束方法ですが、初心者のうちはこれでもある程度何とかなります。
 正直、結びコブの小ささにこだわるのは極小ガイドの竿を使う状況ですし、結束強度が問題になるのであればPEラインの番手をやや太めにすることで対応できるからです。
 私はPEデビューから数年は電車結びで通しました。
 船からのシロギス釣りでしたが、PE1号にリーダーのフロロカーボンライン1.5号の組み合わせで特に結束部分から切れることなく普通に釣りができています。
 ある程度釣りに慣れてきたら、SGノットに挑戦してみてください。
 これがきっちりできると、かなり細いPEラインが使えるようになり釣りの幅が広がります。
 ただし、きっちりできるまで相当修行する必要があります。
 私自身、うまくいく場合と失敗する場合で強度が倍程度違うことが普通にあります。(本当に修行を必要とする結び方なのです。成功すると驚くほどの強度を出せますが……)

 ちなみに、正直、現場でハリを結ぶシーンは初心者の時代はありません。
 現場でハリを結ぶくらいならハリス付きのハリを買ってきて結びましょう。
 家で仕掛けを作りたい場合は、是非挑戦してみてください。
 これはこれで非常に楽しいのです。
 おすすめは外掛け結びでしょうか。(私の子供時代は小針結びと呼ばれていましたけど)
 あとは、漁師結びが意外にお勧めです。
 漁師結びは結構広く紹介されている割に、利用者の少ない結び方なのですが、さすがにプロ仕様だけあって簡単で強度が出ます。
 なお、結びにくいと思ったら右手と左手の役割を交換してみてください。
 私はこれで作業効率が劇的に改善しました。(本当に盲点でした……。子供の頃からずっと苦労していたのに、右手と左手を交換しただけでこんなにやりやすくなるとは……)

 実際の結び方を図で載せられればよかったのですが、絵心があまりにないもので。
 そのうち、描いて載せてみようと思いますが、ぐぐっていただくのが一番かと思います。
 最近は動画でも出ていますしね。

 ラインの結束は釣りの楽しみの一つです。
 修行に似た部分もありますが、楽しんで覚えてください。
 強度の高い結束ができた時の達成感は、大物を釣り上げた時に匹敵しますよ。

 特に20年ほどのブランクののちに釣りを再開された方には衝撃的だろうと思うのが、このPEラインでしょう。
 私自身、釣りを再開してすぐに買ったリールに抱き合わせで巻かれていたなんとも珍妙なこの釣り糸を果たしてどうしたものかと首をひねったものです。

 まず、裁縫に使う木綿糸のように複数の糸をよって作られている奇妙さ。
 そして、素材に透明感が全くないこと。
 腰がなくフニャフニャしていること。
 どれも私の知っている釣り糸からは対極にありました。

 しかしながら、このPEラインが今では沖釣りでしようするラインの主流となっているのです。
 珍妙ではあっても、慣れて付き合っていかなければいけないわけです。
 とりあえず、PEラインの特徴を見て行きましょう。

 まず、最大の特徴がより糸であることです。
 基本的には4本よりか、8本よりです。
 値段は4本よりの方が8本よりも安価な傾向にあるようですが、私自身は使っていて大きな差は感じません。
(上級者になってくると状況が変わるのかもしれませんが、特段4本よりで困ったこともない状況ですね)
 より糸だけに傷がつくとよられたうちの1本はあっさり切れ、強度もいきなり3/4や7/8に落ちます。
 これが、ナイロンラインやフロロカーボンラインのようなモノフィラメントライン(単一物質で均一に作られたライン)との大きな違いですね。
 このより糸にコーティングをかけて、一本に固めたPEラインも存在していますが主流ではないようです。
 コーティングをかけると当然その分太くなりますから、PEラインの持つ大きな特徴である細さの割に引っ張り強度が高いという性能をスポイルする結果にもなりませんね。

 さて、次にですが先ほど行ってしまいましたが、PEラインはナイロンラインやフロロカーボンラインに比べて同じ太さでは引張強度がずっと高いのです。
 糸が細ければ、風や潮の抵抗を受けづらくなり、それだけ釣りやすくなります。
 特に投げることについてはこのPEラインの登場は非常に大きく、投釣りやルアー釣りの飛距離は飛躍的に伸びました。
 例として、昔の投げ竿にナイロンライン3号を用いて20号(約75g)程度のおもりを30m程度飛ばすことができるかどうかの私でも、9フィート(2.7メートル)程度のルアーロッドにPE0.5号のラインを用いて5号(約19g)程度のおもりを80メートルから100メートル飛ばすことができます。
 竿の性能も非常に大きいですが、まずPEラインだからできる細いラインの効果が非常に大きいのです。
 ちなみに、これくらいの飛距離があると堤防やサーフ(砂浜)からシロギスを狙うことも普通にできます。

 そして、PEラインが他のラインの追随を許さない特性として伸びの少なさがあります。
 この伸びの少なさからくる感度は圧倒的です。
 魚信をキャッチする性能だけでなく、ラインが海藻に触れているか、おもりが岩にあたっているかなどを伝えてくれる能力は釣りに革命をもたらしたとも言えるでしょう。
 ただし、伸びがないことが短所になるケースも有ります。
 竿も仕掛けも魚に対し強めのセッティングをしている場合、魚のアタリをはじいてしまうケースもよく見られるんです。
 この辺りはタックルの総合バランスの話が絡んでくるので、そのうち失敗談を書いてみたいと思います。

 細くて強く伸びがないという特性は沖釣りとは非常に相性がよく、沖釣りに使われるラインはほぼPEラインに独占される状況となっています。

 では欠点は何でしょう?
 ずばり、スレに弱いのです。
 PEライン登場時はスレに強いラインとして登場したというエピソードを聞いたことがありますが、現在はスレに弱いことは定説となっています。
 この弱点を克服するためにより糸のうちの一本をスレに強い材質のものにしたハイブリッドPEラインも登場してきていますが、決定的な解決にはなっていないようです。
 またPEラインのハイブリッド化は、PEラインが本来持っていた強みをスポイルする結果にもなりかねないので、よく考えながら選択する必要があると思います。

 もう一つの欠点は、腰が無いことでしょうか。
 おもりなどでテンションがかかっていれば比類なき感度を与えてくれるPEラインも、テンションが抜けてしまうとはりのなさから感度が極端に落ちてしまいます。
 ちなみに、BREADENのフィールドテスターである芥川さんが最近のアングリングソルト誌(アジング最強攻略3にも収録されていたはず)にて「多少たるんだ程度では言われているほど感度は落ちない」といっておられます。
 基本的には、細かいシェイクでたるみが消えた瞬間にあたっているか感知されているようですが、そんな操作は初心者には難しく、まったくたるんでしまえばやはり感度面では厳しいので、「たるみは禁物」と考えておいたほうがいいでしょう。
 また、腰が無いPEラインは慣れていないと絡みやすく自己トラブルの原因になりやすいという特徴もあります。

 長所とも短所ともいいがたい特徴としては、比重が水より軽いところでしょう。
 1g未満のおもりを用いる仕掛けでは、PEラインの浮力でなかなか沈降していかないくらいです。
 また、ある程度テンションを保っていても水中ではPEラインは浮力若干浮き気味になっているので、竿によるアクションが水中では上方向働いているケースが多く見られるようです。
 また、比重の軽さは風の影響も受けやすくなります。
 重いおもりでテンションがかかっている状況であればよいですが、そうでなければ風に流されやすいというのは短所と呼べるでしょう。

 また、より糸にする関係上か透明化するのが難しいようで、バークレーのファイヤーライン以外では透明なラインをまず見かけないというのも特徴の一つです。

 結び目による強度低下もかなり顕著です。
 このため投げる用途でPEラインを使う場合は、リーダー(先糸)といわれるナイロンラインやフロロカーボンラインを数十センチから数メートルつけます。(リーダーを付けるのは他の意味もありますがここでは省略)
 このリーダーを結ぶというのが、PEラインの敷居を高くしているようです。
 この辺りについても、いずれ語ってみようと思っています。

 ナイロンライン・フロロカーボンライン・PEラインの中ででは一番古くから使われているです
 25年前釣り人だった私などには、共に戦った戦友のようなラインですね。

 古くからある釣り専用のラインですが、非常に伸びやすいラインです。
 伸びやすいという特性はアタリ(魚信)を吸収してしまいやすいため、沖釣りでの道糸としては使われることはほとんどなくなりました。(関東圏の沖釣りでまだナイロンラインを主流としているのは、スピニングタックルによるブラクリアイナメくらいでしょうか)
 ナイロンラインに慣れていた人間がPEラインを使用した時に感じるアタリの大きさは、衝撃的といっていいものでした。「科学の進歩は恐ろしい」と思わずつぶやいてしまったのを覚えております。

 ただ伸びやすいというのは悪いことばかりではありません。
 逆にこの伸びやすいという特性から、ショックを吸収してくれるラインということで、ルアーゲームの世界ではまだまだ重要な一角を占めています。
 メインラインをナイロンラインにするケースと、伸びにくいPEラインやエステルラインをメインラインにリーダー(先糸)としてナイロンラインを使用するケースが有ります。
 アジング・メバリング・シーバスゲーム・トラウトゲームなどでは、あえてナイロンラインを選択する人も多いようです。
 特にトラウトゲームでは現在もナイロンラインが主流となっています。

 私自身、2年ほど前に始めたメバリング・トラウトゲームではナイロンラインを使用していました。
 また、私はまったく手を出さないので詳しいことは不明ですが、磯釣りではナイロンラインが現在もメインとなっているようです。興味が有る方は別のサイトなどで調べてみてください。

 適度に柔らかく、適度に腰があるため、扱いやすくライントラブルに強いという特徴もあります。
 比重が水に近く(1.14)、水馴染みがよいというというのも強みでしょう。なお、中を中空にし水に浮くようにしたナイロンラインも存在するようです。(釣りにおける化学技術の進歩はすごいですよね)
 また、製法の改良などで以前よりも伸びの少ないナイロンラインもでてきているようです。

 傷にはあまり強くなく擦れると破断しやすいので、根に擦れたりする釣りでは後述のフロロカーボンラインの方が向いています。
 ハリスの素材としても、水馴染みのよさと適度な伸びでハリス切れを防いでくれるということで使っている人もいるようですが、最近は少数派のようです。(別に統計をとったわけではありませんが、周りを見渡した印象です)
 紫外線による劣化の進行が早く、また吸水による劣化も起こりやすいラインです。
 繊細な釣りに使用する場合は、寿命が非常に短いラインとも言えるでしょう。
 価格はラインの中では比較的安価な部類に入りますが、劣化に伴う巻き替えを考えると意外に高く付くラインかもしれません。

 以前、ビシアジ・LTアジの仕掛けで「水馴染みが良い」という理由で市販製品に利用されているのを購入して試したことがありますが、使い心地にそれほど差はありませんでした。(当時は腕も酷かったので差がでなかった可能性もあります)
 アジはフォールに反応する魚なので、フロロカーボンラインのハリスの方がゆっくりと水中でフォールしていく関係から、シビアな状況ではナイロンラインよりも向いていると思われます。

 「屈折率の関係から透明であっても魚には意外に見えているのではないか?」といった記述を見た記憶がありますが、真相は不明です。

 25年前はほとんどナイロンラインの独壇場(他にもあったようですが、子供の手には届きませんでした)であった釣り糸の世界も、だいぶ様相が変わりました。
 今、使われているラインはナイロンライン・フロロカーボンライン・PEラインがやはりメジャーで、そこにエステルラインが食い込んできた感じです。
 それぞれ長所と短所があり、使い分け・住み分けがなされています。
 特徴等については、また後で話すこととしましょう。
 ラインの素材や太さ、色などの使い分けは、釣りの醍醐味の一つではないかと思います。

 なお、PETラインという表記で売られているものがありますが、エステルラインのことのようです。
 エステル自体がポリエステルの略で、ポリエステルの中の代表的なPET(ポリエチレンテレフタラート)になります。

 エステルライン=PETラインかと言われると上記の理由から、100%そうだとは言い切れないようです。
 難しいものですね。

 竿に続いて糸(ライン)について考えてみましょう。
 はたして25年前のラインが使い物になるのか……。

 当時主要なラインはナイロン製だったことを考えると難しいというのが結論だと思います。
 ナイロンラインは紫外線等で劣化が進みます。
 また、水分を吸収することでも劣化が進みます。
 現在のナイロンラインは紫外線劣化等に対し様々な対策を施しているものもあるようですが、それでも「開封した時から劣化が始まる」という釣り人は少なくありません。

 私自身はナイロン素材のラインを使う機会が激減しているので検証できていませんが、素材の特性上釣りに使用したことがあるものについては確実に劣化が進行すると思います。
 また、開封した時から劣化が始まるという意見については、空気中の水蒸気を吸収して劣化が進むという可能性は十分に考えられると思います。

 母親の裁縫箱から木綿糸を失敬して釣り糸代わりに使っていたという時代は遠い昔のこと。(私が釣りを始めた頃の釣りの解説本を書いていた方の思い出話は、だいたいこんなエピソードで始まったものです(笑))
 今は忙しい中で時間を捻出して釣りに行こうとしている人がほとんどだと思います。
 劣化したラインでせっかくかけた獲物を取り逃がすのは、釣り人にとっても魚にとっても不幸なことです。
 ケチらず新しいラインを購入するのをお勧めしたいと思います。

↑このページのトップヘ